当サイトの記事は、国税庁・財務省・警察庁・消費者庁など公的機関の公開情報、e-Govの法令、田中貴金属工業の公表価格、各買取店・地金商の公式情報、Yahoo!知恵袋などの公開された声をもとに編集部が独自に執筆しています。税金の個別の判断は、所轄の税務署または税理士にご確認ください。金価格・買取価格は記事執筆日時点の参考値で、日々変わります。
『金を一度に売ると税金が高くなりそう。何回かに分けて売れば、少しは安くなるのかな』。まとまった量の金を前に、そう考える方は少なくありません。
結論から言うと、同じ年の中で分けて売っても、金の税金は変わりません。その年に売った分のもうけを合計して計算するからです。この記事では、分けて売る時に税金が変わる場合と変わらない場合を、表で見ていけます。
2026年10月時点の国税庁の公開情報をもとにまとめています。個別の税額や申告の要否は、所轄の税務署または税理士に確認してください。
1kgの金を、何回かに分けて売ろうと思っています。1回の金額を小さくすれば税金も安くなりますよね?
同じ年の中なら、何回に分けても税金は同じなんです。1年分のもうけを合計してから50万円を引くので、1回の金額の大きさは関係ありませんよ。
同じ年に分けて売っても、税金は合計で計算される
金地金を売った所得は、原則として譲渡所得です。その年の総合課税の譲渡益を合計し、そこから特別控除50万円を1回だけ引きます(国税庁 No.3161)。同じ年なら、1回で売っても10回に分けても、課税される金額は同じです。
所得税は、毎年1月1日から12月31日までの1年間に生じた所得で計算します(国税庁 No.2020)。分けて売った分は、この1年の中で全部足し合わされます。
例えば、取得費100万円の金を300万円分売る場合で比べてみましょう。5年以内(短期)、譲渡費用0円の前提です。
| 売り方 | その年の売却額の合計 | その年の譲渡益の合計 | 50万円を引いた後 |
|---|---|---|---|
| 1回で300万円売る | 300万円 | 200万円 | 150万円 |
| 150万円ずつ2回に分ける | 300万円 | 200万円 | 150万円 |
| 30万円ずつ10回に分ける | 300万円 | 200万円 | 150万円 |
どの売り方でも、課税される金額は150万円です。50万円の控除が回数分使えるわけではないんです。
1年単位の考え方は金の売却益は1月から12月で計算で詳しく紹介しています。
分けると手数料が増えることもある
『分けた方が得』とは限らない点も知っておきましょう。田中貴金属では、500g未満の売却に「1件当たりの合計重量」で手数料がかかります。
| 1件当たりの合計重量 | 田中貴金属の買取手数料(税込) |
|---|---|
| 500g以上 | 不要 |
| 100g以上500g未満 | 16,500円 |
| 50g以上100g未満 | 8,800円 |
| 20g以上50g未満 | 4,400円 |
| 20g未満 | 2,200円 |
例えば1kgを1件で売れば手数料は不要です。100gずつ別の取引として10回売ると、16,500円×10回で165,000円の手数料がかかる計算になります。手数料の額や区切りは店ごとに違うので、売る店の公式ページで確かめてみてください。
年をまたいで分けると、50万円の控除はそれぞれの年に使える
同じ年がだめなら、年をまたいで分けたらどうなるんですか?
年が変われば、その年ごとに譲渡益を計算します。50万円の特別控除も、それぞれの年に使えますよ。
特別控除の50万円は「その年の」譲渡益の合計に対するものです(国税庁 No.3161)。そのため、売る年が分かれれば、年ごとに50万円を引いて計算します。
| 売り方(取得費の合計100万円・5年以内) | 1年目の50万円を引いた後 | 2年目の50万円を引いた後 | 課税される金額の合計 |
|---|---|---|---|
| 1年で300万円分を売る | 150万円 | なし | 150万円 |
| 2年に分けて150万円分ずつ売る | 50万円 | 50万円 | 100万円 |
2年に分けた例は、各年の譲渡益が100万円で、それぞれ50万円を引いています。結果として、課税される金額の合計は小さくなります。
金の価格は毎日変わります。翌年に売った時の金額は、今年と同じとは限りません。保有期間が5年を超えるかどうかも、売る日で変わります。売る時期は、税金の差だけでなく、いつお金が必要かも含めて考えてみてください。
保有期間の考え方は金は5年を超えて持つと税金が半分?で、合法的にできることとできないことは金売却の税金対策で紹介しています。
支払調書を避けるための小分けは、税金に関係ない
『200万円を超えると支払調書が出るから、超えないように分けたい』と考える方もいますよね。ただ、支払調書と税金は別の話なんです。
- 1回の対価が200万円を超えるかで決まる
- 買取店が税務署に出す書類の話
- 売った人のマイナンバーなどを書く
- その年の譲渡益の合計で決まる
- 50万円を引き、5年超なら2分の1にする
- 1回の金額を小さくしても変わらない
支払調書は「金地金等の売買を業として行う者」が、1回の対価が200万円を超える支払いをした時に税務署へ出す書類です(所得税法224条の6・225条)。税金がかかるかどうかの線ではありません。
国税局は、支払調書のほか、あらゆる機会を通じて資料情報を集めて調査をしていると公表しています(仙台国税局の報道発表)。申告が必要かどうかは、支払調書が出るかではなく、譲渡益の計算で判断しましょう。支払調書の仕組みは金の支払調書とはで紹介しています。
インゴットを自分で切るのは避ける
インゴットを分割(加工)した時の税の扱いを書いた国税庁などの公的な記述は、確認できていません。田中貴金属は「地金のサイズ交換や、小分け・分割などは行っていません。」と案内しています。
日本マテリアルは「1kgをご自身で切断してしまった場合、売却ができなくなります。」と公式に書いています。インゴットは自分で切ったり削ったりしないでおきましょう。
詳しくはインゴットを分割して売ると税金は?にまとめています。
家族の名義に分けて売る時は、贈与税に注意
親からもらった金を、家族で分けてそれぞれの名前で売るのはどうでしょう?
金を家族に渡した時点で、贈与の話になります。売る人の名義だけを変えるやり方は避けて、誰の金なのかをはっきりさせておきましょう。
贈与税は、個人から贈与で財産を取得した時にかかる税金です。1年間にもらった財産の合計から基礎控除110万円を引いた残りにかかります(国税庁 No.4402・暦年課税)。
本人の金を家族の名前で売ることは、勧められません。家族に金を渡すなら、まず贈与としての手続を確かめてから考えましょう。もらった人が金を売る時は、贈与した人が買った値段と日付を引き継ぎます(所得税法60条1項)。
金の贈与税の計算は金を贈与すると贈与税は?で紹介しています。
よくある相談:50gずつに加工・1kgの分割・アクセサリーを数回に
Yahoo!知恵袋にも、分けて売ることについての相談がたくさんあります。よくある3つに答えていきますね。
支払調書が出ないよう、1kgを50gずつ20個に加工した
『200万円を超えると支払調書が出ると聞き、1kgの金を50gずつ20個に精錬加工した』という相談がありました。
小分けにしても、同じ年に売った分の譲渡益は合計して計算します。支払調書は店が出す書類で、課税の線ではありません。売った年の譲渡益の合計から50万円を引き、申告が必要かどうかを判断してください。
1kgの金は分割して売った方が節税になる?
『1kgの金を売る時、分割して売却した方が節税になるか』という相談もありました。
同じ年の中で分割しても、課税される金額は変わりません。むしろ、店によっては小さく分けると手数料が増えることがあります。年をまたいで売れば50万円の控除は年ごとですが、相場の変動もあるので、売る時期は税金だけで決めないのがおすすめです。
18金のアクセサリーを数回に分けて売った
『18金の指輪やネックレスを、今年数回に分けて買取店で売った』という相談もありました。
ネックレスや指輪などの貴金属の製品は、1個または1組の価額が30万円以下の生活用動産なら、売却益が非課税です(国税庁 No.3105)。判定は売った回数ではなく、1個または1組の価額で見ます。この線は金地金には当てはめない点に気をつけてください。
分けて売る前に確かめておきたいこと
『結局、自分はどう売ればいいの?』という方は、次のことを確かめてから決めると安心ですよ。
- 今年すでに売った金があるか、その譲渡益はいくらか
- 取得費と購入日が分かる書類が残っているか
- 売る店の手数料が、1件当たりの重量でどう変わるか
- 200万円を超える取引で求められる書類(マイナンバー確認書類など)
- 家族の名義を使わず、本人が本人の金を売るか
売る前に査定額を知っておくと、その年の譲渡益の合計も前もって計算できます。売った後は、回数ごとに買取明細を受け取って保管しておきましょう。
PR|金・貴金属の買取
売る前に、金の査定額を確かめる
税金の計算は、いくらで売れるかが分からないと始まりません。インゴット・金貨・アクセサリーは1点から無料で査定を受けられます。金額を聞いてから、売るかどうか・いつ売るかを決めましょう。
査定料無料公式サイトで査定方法を確認する買取価格は日々変わります。最新の価格・条件・必要書類は公式サイトで確認してください。

明細は、分けて売った分を1年分合計する時の大事な記録になります。税金の全体の流れは金を売った時の税金ガイドで紹介しています。

よくある質問
金を分けて売ると税金は安くなりますか?
同じ年の中で分けても、譲渡益を合計してから50万円を引くので税金は変わりません。年をまたぐと、50万円の特別控除は年ごとに使えます。
200万円を超えないように分けて売れば、確定申告は要りませんか?
200万円は支払調書の線で、申告の線ではありません。申告が必要かどうかは、その年の譲渡益の合計などで判断します。
金を何回かに分けて売った時の確定申告はどうしますか?
その年に売った分の売却額・取得費・譲渡費用を合計して、1年分の譲渡所得として申告します。回数ごとの買取明細を残しておきましょう。
インゴットを小さく切ってから売ってもいいですか?
自分で切断した地金は、売却できなくなると公式に書いている店があります。分割を受け付ける店でも、税金の計算は合計で行います。
まとめ
- 同じ年に分けて売っても、譲渡益は合計して計算するので税金は変わらない
- 年をまたぐと、50万円の特別控除はそれぞれの年に使える
- 支払調書は1回200万円超の取引で店が出す書類で、課税の線ではない
- 小さく分けると、店によっては手数料が増えることがある
- 家族の名義で売る前に、贈与としての扱いを確かめる
- 個別の判断は所轄の税務署または税理士に確認する







コメント